※この話は竜崎女体化でパラレル・映画のパロが盛り込まれています。苦手な方は回避してください。
はなよめ 7
夏の昼下がり。
セミの声がうるさい程鳴り響く。
陽炎が立ち込める路上を青年はゆっくり進んだ。
体から吹き出る汗を拭い、一軒の民家を目差す。生まれ育った実家。
成人してから家を飛び出し、もう戻ることはないとさえ思っていた実家。
そこには現在兄夫婦が暮らしている。
二度と会わないつもりだった。しかしせめて、一目だけでも彼女を見たかった。
我ながら未練がましい。
彼女はもうとっくに自分など過去の事になっているはずだ。
家は何年たってもその姿を留めていた。
じっと家を見つめると、深いため息がこぼれた。
彼女の姿を一目だけでも見たい、この行動が馬鹿馬鹿しく思えてきて目を伏せた。
(何をやっているんだ・・・)
早く自分の場所に戻ろう。
踵を返し、来た道を引き返そうとしたが。
月は凍りついた
(今のは!?)
確かに彼女だった。
思わず植木の影に隠れ、様子を伺う。
彼女は縁側に座って夕涼みをしていた。そして彼女の腕には、産まれて間もない赤ん坊が抱かれていた。
脳裏に墓地で会った時の彼女が浮かんだ。数年前の、子供が授からないと悩んでいた頃の彼女だ。
縁側で子供をあやすように彼女は歌を口ずさんでいた。
優しい旋律が彼女を包んでいた。
それは紛れもない母親の表情だった。
見れば見るほど一層強く惹きつけられて、胸が締め付けられた。
居たたまれなかった。
彼女は既に兄との間に子供を儲けていた。
彼女から顔を背けその場を走り去った。
どこをどうやって戻ってきたのかよく判らない。
月は自室へ戻るなり畳の上に崩れ落ちた。
「あ・・・!」
涙が止まらなかった。拳で何度も畳を叩き、爪を立て、一人涙を流し続けた。
彼女と愛し合った、この部屋で。
++++++
えー・・・・と・・・・・
竜崎のために涙流して苦しんでる月君が愛おしいな(爆
月君ファンの皆様すみません・・・いつもいつもすみません><