えろ神神様
※この駄文は絵版で連載していたしょうもない話です。
<ストーリー>
受験生の夜神月(17)は近所に住む教授補佐の特別講師(注:大学とかでいるじゃないですか。あの、先生の補佐する学生じゃないけれど先生でもない方)の竜崎に邪な感情を抱き日々悶々としていた。
彼はまさに清廉潔白(注:夜神の脳内での話)色事とは無縁の存在。そんな彼を妄想の中で辱める自分がたまに嫌になるが、若さゆえの過ち。妄想と現実のギャップに打ちひしがれ夜な夜な枕を濡らした。
ある日、竜崎に呼ばれて家まで行った時のこと。突然あの竜崎が圧し掛かってきたではないですか。
これは夢??あの竜崎が腰の上であんあんいってる!?(馬鹿でスミマセン)夜神の理性とシモの堤防は決壊。本能のまま突っ走って突っ走って一段落した後、何かおかしいぞ、と気がつきます。これ本当に竜崎か??姿形は竜崎だけれど竜崎じゃない。
「お前はだれだ」てゆうかだれとしちゃったわけ!?
いつも飄々とした顔の竜崎が、見たこともないような妖艶な顔で微笑みます。
「私は淫魔ですよ。あなたの情欲に呼び寄せられてこの人間の体に寄生したんです。」
「なんだと、じゃあ竜崎は・・・」
「大丈夫です。私が覚醒している間の記憶は残りません」
「・・・・。(はっ、安心してどうする!?)おい、竜崎から出て行け」
「どうしてですか?あなたに呼ばれてやってきたんですよ?それにあなたも随分楽しんでました」
「本物の竜崎とじゃなきゃ意味あるか!」
「うそつき。あなたは体のことしか考えていなかった」
「うああああ言うな!(涙)」
「可愛いですね、私はあなたが気に入りました。実は一度人間に寄生したら条件がそろうまで出られないんです、またしたくなったらいつでも呼んでくださいね」
「呼べるわけ無いだろ!!」
「あ、わたし、Lっていいます」
「えろ?あからさまな名前だな」
「きちんと発音してください、タマ取られたいんですか?」
「わかったよ、えろ神。タマ(魂)はまだ取られたくないからな。」
「全然判ってないじゃないですか・・・まあいいでしょう。あなたはしばらく私のおもちゃです。」
こうしてへんな関係が始まるのでした。
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青少年夜神は、寝ても醒めても竜崎の事しか頭に浮かびません。受験生なのに・・・・どうしても勉強が頭に入らない!! いっそ妄想の中で※すだけだったらこんなに悶々しない。一発※いて寝れば気分も変わる。それなのにあの忌々しいえろ神の所為で・・・・
そして少年は今晩もえろ神を召喚するのであった。
人とは思えない身のこなしで竜崎(に、寄生・・・もとい、降臨したえろ神)が窓からやってきた。
「やっぱり音を上げましたね。ふふふ」
「お前の所為だぞどうしてくれるんだ!」
「そうですねぇ・・・淫魔に取り付かれると、大抵の人間はもうソレなしじゃ生きていけなくなりますからねぇ(喜)」
「(ガーン・・・)何か方法はないのか。」
「ご愁傷様です」無いのかよ!!!
「まてよ、取り付かれるって・・・・僕だけの話じゃないだろ?」
「ええ。この竜崎という人間も、回数を重ねるうちにだんだん私の影響をうけて・・・・夜な夜な男を求めて彷徨い歩くようにな「ふざけるな冗談じゃない僕の竜崎を!」
「(いつからあなたのものになったんでしょうね・・・)だから、この人間と両思いになってしまえばいいだけの話です」
「おんなし顔で両思いとかいうな(涙)」
「すきですよ、夜神君(どうです、とびきり甘ーくいってやりましたよ?)」
「(涙ぼろぼろぼろ)・・・ううう、僕も・・・」
「(意外な展開です!可愛いじゃないですかw)よしよし」
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竜崎は怯えていた。自覚が無いうちに出歩き、しかも体に残る痕跡から自分はどこの誰とも知らない人物と関係を持ってしまっているという事実。
(し、しかも相手は・・・男!?)下半身に走る激痛から自分が女役であると判明。
もう、足元が崩れ落ちていくような衝撃。私は、私は、一体どうしてしまったんだ!?
こういうことを相談できるのは夜神君。彼なら信頼できる。年下ではあるが同年代の子に比べて彼は非常に落ち着いた所があった。早速彼を呼び、相談を持ちかけてみる。
「・・・・。」
「・・・というわけなんです。私、どうしたらいいかわかりません」
「そう・・・」
夜神は思い当たるフシがありすぎて言葉も出ない。うう、あなたを押し倒し(いや、時にはあなたが馬乗りにもなりますが)体の奥の奥までかき回してるのは他でもない僕なんです。
後ろめたいどころの騒ぎじゃない。このまま罪を告白して存在ごと消えてしまいたかった。最愛の人を汚してしまった罪は消えない・・・・考えのブラックホールにはまっていると竜崎はとんでもない事を言ってきた。
「すみません、今日一晩私を見張っていてください。出かけようとしたら力ずくで構いません。止めて下さい。」
竜崎は自分自身と向き合うために、夜神には内緒で部屋に隠しカメラまで仕込んでいた。
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竜崎に呼ばれ、一晩中見張ることになった夜神。しかし嫌な予感はがっつんがつん当たるもの。竜崎が出してくれた激濃度のコーヒーすら効き目はなく、そのまま眠りに落ちてしまった。
(さて、どうしましょうか。)
とっくに覚醒していたえろ神は無防備に寝こける青年に近づいた。もちろん竜崎が仕掛けた監視カメラも知った上で。
「そろそろこの人間も、自分が如何に淫乱ではしたない生き物か知ってもらう必要がありますね。」そして私の存在にも。
にやりと口端をもちあげると夜神の上に跨った。
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ついに竜崎にばれてしまった。
まさか隠しカメラが置いてあったなんて予想外だった。そこまで竜崎が追い詰められていたなんて全く考えてなかった・・・
「夜神君、これ、私ですよね」
竜崎は画面を見たままかたまってしまった。そこにはA/V俳優もビックリするほどいかがわしい竜崎の姿が映っていた。
「・・・・」
「私、夜神君になんてことを・・・すみません、本当にすみません。殴って気が済むならどうぞ好きにしてください・・・」
竜崎の謝罪を聞き、夜神はとてつもなく胸が痛んだ。(違うんだ、本当は僕の所為で君をこんな目に・・・悪いのは全部僕なんだよぉおお!!)もう、なきそうだ・・・しにたい・・・
「今まで黙っててごめん。全部話すよ」
もう隠し通せない、夜神は洗いざらい話すと腹を決めた。えろ神の存在も何もかも全て。
しかし肝心の「なぜえろ神が降臨したのか」については都合よくパスした。これだけはどうしてもいえなかった。言ったら最後、もう竜崎とは顔を合わすことすら出来なくなる・・・いや、今でも相当気まずいけれど。
全部話し終えると竜崎はきょとんとした目をますます丸くして「そうですか」と無理矢理納得したようだった。
「つまり、私の中にへんな神がいて、ソレが私の体を好き勝手してたわけですか」
「・・・うん」
「夜神君は私を軽蔑しますか?」
「し、しないよ・・・」とっても心が痛むけれど、竜崎は自分が加害者だと思っている。
「百歩以上譲って、その変な神が実在するとしましょう。・・・映像を見る限り、えろ神とやらは夜神君に好意を寄せているように思います。」
「え!?(・・・あいつ、誰でもいいはず・・・なんだけどな)」そいうえば他の所に行ったことはない。えろ神は真っ直ぐ僕のところにきた。たまに見せる切なそうな顔は、快楽からじゃなかったのか??
「そしてあなたも嫌じゃなかったわけですよね?そのえろ神が。」
「そっ;(そこで僕に振るか!!焦!)」
ああ、嫌じゃないさ!なんたってあの竜崎がぼくと!!束の間の夢だと思ってもやめられなかったさ!!だってしょうがないだろ好きなんだから!!・・・と、喉まででかかったが夜神は寸前で飲み込んだ。
「・・・・」
「;;;;;(どうしようかな・・・)」
夜神の沈黙を肯定ととった竜崎。
「あなたは私を媒体にしてえろ神とやらとよろしくやっていたんですねぇ」私の意志は関係なく。
そう言い放った竜崎の声は腹の底から冷えるほど怒気を孕んでいた。今まで溜めていたものが一気に爆発したようだ。
「ごめん・・・」
竜崎の静かな怒りのオーラについ謝ってしまった夜神。しかし彼はなぜ竜崎が怒っているのか見落としていた。
「私は、あなたたちの恋路の道具にされて非常に不愉快です。」
「は?何言ってるの!?」
ていうか、逆なんですけど。僕がすきなのは竜崎なんだけど!?
この誤解がどう転ぶか。とにかくえろ神はとんでもない誤解を竜崎に植え付けてしまったみたいだ。
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竜崎はどうしても腹の虫が収まらなかった。自分の体を乗っ取り好き勝手されるのはもう御免だ。
おそらくえろ神は名前の如く淫魔の類だろう。竜崎は考えた。どうやったらそいつと対話が出来るか、考えて考えて考え抜いた後、ゆっくりとベッドに腰掛けた。
(私の考えが正しければ、淫魔は快楽に深く関わりがあるはず。)自慰でもすれば出てくるだろうと竜崎は考えに至った。
「早く、姿を現しなさい・・・出てくるまで、何回でも・・・っ・・」※すみません。
もはや執念としか言いようが無かった。鬼気迫る勢いでこすりあげ、そのうち前だけでは物足りなさを感じる自分に竜崎は酷く驚くこととなる。「嘘だ・・・こんなのは・・・ありえません」※本当はもっと事細かに書きたかったですが、ちょっと端折らせていただきます。
精魂尽き果て、ベッドに沈み込みそのまま竜崎は眠ってしまった。ついに意識があるうちにえろ神は現れなかった。しかし竜崎はまどろみの中、えろ神との接触に成功する。
自分の前に、鏡でも置いてあるような感覚だった。えろ神は竜崎と全く同じ姿をとっていた。
「はじめまして、Lです」
「あなたがえろ神ですね」
「そう怖い顔しないでください。あなたも彼に抱かれてたことがわかって嬉しかったでしょう?」
「冗談じゃありませんよ、何故“私”が女役なのですか。普通ヴィジュアルからいったら彼でしょう!?」※竜崎は月に突っ込みたかったようです。
「私はネコなのです」
「こんな男が喘いでも全然美しくありません。外見は大切です」
「そんなことありません。それにもう体がそのようになってしまっています。あなた、さっきのでわかったでしょう?」
「悪趣味ですね、私が一人で善がってるのを眺めてたわけですか」
「ふふふ、私は“あなた”あなたは“私”。あなたが感じるようにわたしも感じることができます。最中の記憶を封じておいたのは私の配慮ですが必要なかったですか?」
「私から出て行ってください。」
「そもそも、私は夜神月に呼ばれてあなたに寄生したんです。彼は大切な所をあなたに言い忘れたようですから補足しておいて上げます」
「なんですか」
えろ神の口端がいやらしくつりあがる。まるで自分がそうしているようで竜崎は酷く気分が悪かった。
えろ神はついに事のてん末を話し始めた。
夜神月は竜崎という人間を犯したくて仕方が無かったんですよ。
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全く茶番ですよね、とえろ神が言った。
「夜神に呼ばれてあなたに寄生したのはいいですが・・・あなたたち元々出来ていたんですから、とんだお笑い種です」
「わ、私は確かに彼に対し邪な思いを持っていました。それは認めます。が、彼にはそんな素振り全く見られませんでしたよ。」
「私が脅していたんです。もし私の存在がばれたら竜崎はきっと理由を追求し、真実を知ったらあなたを許さないだろう・・・って」
「彼を騙して弄んでたのですか」
「私はそう格式高い神じゃないのはあなたもわかるでしょう。あなたたちの想いが成就してしまったら私は消えてしまうんです。私もそう簡単には消えたくありませんから」
「あなたなんて消えてしまえばいいです」
「申し訳ないですが手遅れです。夜神月は深く私と関わってしまった。もう私無しではこの先生きていけなくなるでしょう。もちろん・・・」
あなたもですよ。竜崎。
「じゃあ、このままの状態を続けろというのですか」もっと早く体の異変を彼に相談していたら。彼への気持ちを素直に打ち明けていたら。こんな事にはならなかったのに。
「方法が、無いわけでもないです・・・」
「こうなったら、どんな要求でも呑みます。彼も私も、不本意ですがあなたも、生存できる方法があるのならどんなことでも受け入れます。」
えろ神は竜崎の目の奥に強い意思を見た。だからこういう真っ直ぐな人間は苦手なんだ。心の闇すら打ち消せるほどの強い意思の人間。とても清らか過ぎて棲めたモンではない。
「・・・あなたとわたし、同化するんです」
「なんですって」
「そうすることにより、抜け落ちた記憶もあなたの記憶として蘇ります。そしてわたしの人格はあなたに吸収されて結果消えてしまうでしょう。ですが淫魔の力は残っているので、あなたが夜神月と想いを遂げればなにも問題はありません」
えろ神が、きえる。そして夜神月と結ばれれば・・・・
「悪い条件じゃありません」
「早速、といきたいところですが・・・最後に一つだけわがままきいてもらっていいですか。」
「この際いいでしょう。あなたは間もなく消えてしまうのですから」
「・・・では最後に、夜神月と話をさせてください」
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夜神月は苦悩していた。竜崎に嫌われた・・・もうおしまいだ・・・・
枕に顔を突っ伏してこの世の終りのような気分でうなだれていたらふいに
「生きてますか?」
「おまえ、えろ神!!」
今一番みたくない顔が目の前に現れた。
「正解です」
「知ってたんだろ?竜崎が部屋に隠しカメラつけておいたの最初っから知ってて僕を・・・」
「ええ。私は竜崎が何を考え、どう感じているか全て手に取るようにわかります。」
「竜崎は僕のこと、もう嫌いになっただろ? こんなことなら、最初から素直に告白していればよかった。そうすればお前みたいな変な神に翻弄される事もなかった。」
「・・・」
「もう、消えてしまいたいよ。」
「竜崎が、あなたをどう思ってるか、私は知っています。」
「・・・教えてくれるわけ無いよな」
「それはあなたが聞くことです」
「聞けないよ」
「竜崎があなたをどう思っているかはともかく、私はあなたという人間が好きでした。本心を隠すのはもうやめなさい。彼だって望んでいないはずです。」
「・・・・えろ神?」
「こういうの苦手なんです。私はただの淫魔ですから。あとは自分で何とかしてください。」
「ちょっとまって、今竜崎に変わるつもり?!心の準備が・・・!!」
刹那、えろ神が今まで見たことのない無垢な笑みを見せた。
「さようなら」
軽く触れるだけのキスを夜神の唇に落とし、えろ神の意識は途絶えた。
崩れ落ちる竜崎の体を支え、夜神は何が起きたのか必死に状況を整理しようとした。
さよなら、ってどういう意味? ねぇ、最後まで僕の恋を見守ってくれないの??
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「あ・・・」目を開けると、天井が普段と違う。違和感を感じる。
「竜崎??」
心配そうな夜神の顔が飛び込んでくる。そうか、えろ神は夜神の家に私を連れてきたのか。夜神のベッドを占領していた事に気付き、竜崎は体を起こす。
すると体中に切ない疼きが走った。心が引き絞られる。胸が苦しくて苦しくて、どうすることも出来ない、この気持ちは。
「ど、どうしたの!?」
竜崎は両目から涙を流していた。拭っても拭っても後からこみ上げてキリがない。
「泣いているのは・・・私ではありません。」
それは、えろ神が竜崎に残していった感情だった。
「わたしは、夜神君が好きです。えろ神になんて渡したくなかった。だから、えろ神と融合する事を選んだのです。」
「え・・・」
「私は、竜崎です。えろ神は、消えてしまいました」
「きえた?」
ふいに、あのときの記憶が脳裏に蘇った。
― さようなら ―
ああ、そうだったのか・・・。
その日、夜神は竜崎と想いを遂げた。竜崎は嫌がったが、女役を甘んじて受け入れた。
「いつかあなたにぶち込みますから(怒)」
「まぁ、それは・・・追々考えます///」←なぜか敬語の夜神。
こんな日が来るとは到底思わなかった。えろ神が竜崎に降臨しなかったら・・・おそらくこの生活は無かっただろう。結果、えろ神は竜崎と夜神を引き合わせたのだ。
「えろ神・・・・神様」
独り言のような呟きが夜神の唇からこぼれた。
もう、会えないんだね。
彼には沢山言いたいこと・・・伝えたい事があったのに。
「私はここにいますよ。」
驚いて振り返るとちょっと悪戯っぽい顔で微笑む竜崎がいた。
END
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よく判らない展開ですが、読んでくださってありがとう御座いました。思いついたときはギャグ100パーなのに、こんなエセ・センチメンタルなオチになってしまいました。なんでだろ・・・。竜崎は気持ちは攻めでも体が受けなのです(笑)えろ神仕込のちょうひわいーなサービスもあったりするんですって(夜神談)書いてる本人はとっても楽しかったです。所詮は自己満足です;;;
絵版だから気がつかなかった(?)のか、改めて見直すと駄文っぷりと汚い絵が際立ちます。お見苦しいものをすみません。