※絵板でだらだら笑い半分で書き殴った売れない作家竜崎(虚弱体質)のはみ出し妄想文(注:駄文)です。
まぼろし
彼を初めて見かけたのは、くたびれた木造立ての建物の前。青白い頬とうつろな眼差し。
彼の手には大きな分厚い茶封筒が抱えられている。
目を引いたのは、おそらく彼が着流し姿だったからだろう。
今の時代では珍しくはないが文明開化が謳われる中、彼はまだ時代の色を残していた。
「あの・・・・」
彼に声をかけられ、初めて自分が彼を凝視していた事を知った。なんともばつが悪く、色々思案してみても適当な方便すら浮かんでこない。
「それ、何が入ってるのかと思って」
ようやく僕は適当な言い訳をつけられたが、初対面でぶしつけな事には変わりがなかった。
「これですか?」
彼は、がさがさと落ち着きなく封筒を握り締めた。あまり言いたくないのだろうか。
彼の顔が翳っていくのを感じ、僕は失態に内心舌打ちをした。
「本の原稿が、入ってるんです」
彼は俯き加減でぼそぼそ言葉を紡いだ。
「小説ですか?」
「いえ、そんな大層なものでは・・・」
口では謙遜するくせに彼は少し嬉しそうだった。
「今、出版会社に掛け合ってこれを一冊の本にできないか交渉をしてきたところだったんです。ですが・・・無名の自称作家を相手にしてくれるところはなかなかなくて」
「勿体無いですね」
「え?」
「もしかしたら百万の民衆をも夢中にさせるような素晴らしいお話かもしれないのに」
すると彼が初めて笑った。
「あなた、面白い人です。」
「僕は本気ですよ?できればあなたの作品をじっくり拝見したい・・・・」
自分でも少し饒舌になっていると思う。
普段なら見ず知らずの相手の領域に踏み込むような真似は絶対しない。
彼はやや逡巡した後、
「私のところはとても人を呼べるような住まいではないのですが・・・・それでもよろしいようでしたらどうぞ」
立ち話もなんですし、と答えた。
僕は最初の用事などすっかり忘れてしまった。
彼との出会い、それは僕の日常の中では異質な事だった。
踏み込んではいけない領域というものがあるのは知っている。
しかし僕はどうやら彼の生み出す独特の雰囲気に心を支配されてしまったようだ。
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えっと・・・・はみ出し妄想なので、続くかは気分次第です。
夜神口調は照れます(笑)でも下心がそっくり反映できていい、ていうメリットが(笑)
そのうち絵板ログを妄想メモ帳に移し変えるかもしれません。
お目汚し失礼しました;;